「商品秘話」

ロングセラー商品 知床ざるそば ブーム到来

2019.04.30

茶そばと間違われても、このおいしさを信じて…

色見や香りなど試行錯誤を重ねうまれた緑色のそばは、目にした人すべてに驚かれました。驚かれたというよりも変り者を見るような目で不思議そうに見られました。

最初は秋からの発売でしたので、温かい「かけそば」として商品化しました。パッケージカラーも茶色でした。ところが、温かくして食べると昆布の香りが強く出すぎたのか、全く売れないのです。そこで急遽、夏からはパッケージカラーをグリーンに変更し、ざるそばとして販売しました。しかし、緑色のそばイコール茶そばと間違える人も多く、変わった色をした麺はなかなか手に取ってもらうこともできません。それでも食べた方からは「この蕎麦、磯の香りと食感が良くておいしいね。」と言っていただけることが救いでした。

しかし、商品を手に取る方がなかなか増えずに売れ残りが続き廃棄が増える一方でした。それでも、この味を知る販売店の担当者は「この味はとってもよい」「諦めちゃダメだ!」「必ず売れる」と言っていただき、廃棄が増えても増えても店頭に辛抱強く置いてくださいました。

諦めかけたそのとき…。知床そばにようやく運気が舞い込んできました。

森繁久彌が作った「知床旅情」を加藤登紀子がリリースし、全国に「知床」の名が広まってきていました。そして「知床」が人気の観光地になってきた勢いで、知床ざるそばも一気に売れ行きが上がっていったのです。あの「知床」の名前がつく商品ならば、買ってみよう。とやっと手に取ってもらえる機会が増え、味の評判もよくリピーターが増えていきました。

また、蕎麦が健康ブームの一品だったこともあり人気は拍車をかけてのびていきました。

冷たいざるそばなので、冬は店頭から下げた際のことです。販売店にお客様からの問合せが殺到しました。「なんで大好きな知床そばが売ってないのよ!」「おそば屋さんだって冬でもざるそばはあるでしょ!」こうした問い合わせが来るほど、知床ざるそばファンのお客様が増えていたのです。そんなこともあり「知床ざるそば」は、夏型のざるそばでありながら、北海道では1年を通して販売されるという特別な商品になりました。今のように売れ行きや廃棄率がデータ管理されている時代であれば、知床そばは生き残っていなかったと思います。「知床ざるそば」の良さを知っていただき、販売し続けてくれたお店の方々や、この商品を購入し続けてくれている多くのお客様に感謝しています。本当にありがとうございます。

つづき…ロングセラー商品 知床ざるそば デザイン秘話

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